Webサイト改善のポイントと順序
Web改善というと何から着手しますか?
文言ですか?
デザインですか?
それともコンテンツですか?
SEOですか?
Webサイト一つとっても色々な軸があり、着手のポイントとしてはどれも正しく・どれも間違っている可能性を秘めています。
そこで今回はWebサイト改善のポイントと順序について説明していきたいと思います。Web担当になったけど何から手をつけて良いかわからない、改善施策は行っているが上手くいっていない方に向けての記事になります。
Webサイトの変数
そもそもWebサイトが何からできているか要素分解すると、
- 文言
- 色
- 画像
- レイアウト
- 表示速度
になると思います。(厳密にするともっと細かくなりますが)
これらを変数として考え、どこをいじれば結果がどう変わるということを検証していく必要があります。まずはそもそも自分がどの変数を扱うのかということを認識する必要があります。
改善の順序
次に改善の順序・進め方についてですが、下記の流れで実行していきます。
- 前提条件の整理
- 現状把握
- 改善仮説の立案
- 優先順位付→実行
- 振り返り
前提条件の整理
まずは改善PJの前提条件の整理をしましょう。
「Webサイトの役割 = 誰に、何を伝えるもの?」
「Webサイトに期待することは?それはいつまでに?」
「どの状態のユーザーに来て、行動を起こしてもらいたいのか?」
こういったことを整理しておく必要があります。これはチームのためでもあり、あなた自身の振り返るためのものでもあります。残しておくのはスライドでも良いですし、Googleドキュメントなどに文字ベースで残しておきましょう。
現状把握
次に現状把握の段階です。あなたのWebサイトにどれくらいの人が訪れているのか計測していますか?もし計測していないのであれば、まずは計測することから始めましょう。
計測ツールには色々なものがありますが、無料で利用できるGoogleアナリティクス、Googleサーチコンソール、Microsoft Clarityを導入しておけば問題ありません。その他のツール(例えばフォーム解析)などは入れられれば入れる程度でOKです。
計測する指標
指標 | 計測ツール | 指標の意味 |
---|---|---|
PV | Googleアナリティクス | 何回ページが見られたか |
ページ/セッション | Googleアナリティクス | 1セッションに何ページ見られたか |
直帰率 | Googleアナリティクス | 直接来たユーザーの何%が他に遷移せずに離脱したか |
流入チャネル | Googleアナリティクス | どの経路からユーザーが流入しているのか |
流入キーワード | Googleサーチコンソール | どんなキーワードで流入してきているか |
ヒートマップ | Microsoft Clarity | どこまでページが見られているか |
クリック | Microsoft Clarity | ページのどの部分がクリックされているか |
コンバージョン | Googleアナリティクス | お問合せや購入などをしたユーザー |
上記が計測できる状態にまずは持っていくことが大事です。数値が計測できたら、自分が想定しているものと差異がないか確認していきます。
「思ったよりこのページ見られてないな」
「実はTOPページじゃなくて、下部のページの流入が多いな」
「検索流入ではなく、参照(他サイト)からの流入が多いな」
などの気付きがあるはずです。
さらにそこを「なぜ」で深ぼっていきます。
「検索流入ではなく、参照(他サイト)からの流入が多いな」→「特定のサイトからが60%占めている」→「ニッチだけど有名なサイトで好意的に紹介されていた」
みたいな形で良いところ・悪いところを含めて把握します。ただ全てを調べていると時間が膨大にかかるので、主要なページ・流入元に絞って実行します。
改善仮説の立案
- Webサイトの目的、理想
- 現状
を把握できたと思うので、そこに対してのギャップを埋めていく施策を実施していく必要があります。
コンバージョンを例にあげると、変数としては流入数×CVR(コンバージョン率)なので、どちらか or 両方を改善してギャップを埋めていく必要があります。
打ち手としては色々な方法がありますが、アクセス数が多い場合・少ない場合で進め方がことなります。
アクセスが少ない場合:現状の数値の母数が少ないため、まずは母数 = 流入数をあげる施策に注力
アクセスが多い場合:コンバージョンまでの流れの中で、歩留まり率が悪いところに対して施策を実施。もしすでに歩留まりが高いのであれば流入数をあげる施策を実施
という流れになります。
よくありがちなのがアクセス数が少ないのに内部のUI改善とかをやって、CVRが2倍になりました!でも、もともと1件だったので2件になりました。みたいな改善率で見ると高いのですが売上/事業に対するインパクトが少ない事象があります。
とりあえずこのステップではできる限りの施策をリストアップします。できれば一人ではなく、色々な職種の人に聞いてみるのも良い手です。
また仮説の立て方として、「ボタンをとりあえず赤に」みたいなのではなく「ボタンが青だとページ内に埋もれてしまい見逃しているのでは?なので赤色にして目立つようにするとCVRがあがるであろう」という「なぜ」の部分も記載するようにしてください。後の振り返りのときに重要になってきますので。
優先順位付→実行
施策のリストアップが終わったら、各施策の優先順位付を行っていきます。インパクトと施策にかかるコストでスコアリングすると迷わずに、担当があなたでなくても優先順位がつけられるのでおすすめです。
インパクト/コスト | コスト小 | コスト中 | コスト大 |
---|---|---|---|
インパクト小 | 3 | 2 | 1 |
インパクト中 | 6 | 5 | 4 |
インパクト大 | 9 | 8 | 7 |
上記の表で数値が大きいものが一番優先になります。それぞれの大・中・小についてはオリジナルで定義していく必要があります。
例えばコストであれば、コスト小(10万未満)、コスト中(30万未満)、コスト大(30万以上)のような明確に数字で定義すると迷いがすくなくなります。インパクトに関しても同様で売上〇〇%アップを段階を設けて設定してあげます。
優先順位が整理できたら、実際に施策を実行していきます。この時点で見るべき指標をちゃんとbefore/afterで計測できるようにしておかないと何がよかったのかがわからないため後の施策につながりません。
振り返り
施策を実施して、ある程度afterの数値が貯まったら振り返りを実施します。仮説が正しかったのか、そうでないのかが数値ででてきていると思いますので。
ボタンの仮説を例にすると、
仮説:「ボタンが青だとページ内に埋もれてしまい見逃しているのでは?」
施策:「なので赤色にして目立つようにするとCVRがあがるであろう」
結果:「CVRが120%改善した。おそらくこの仮説は正しいので、他ページでも同様のことを実施すればCVRが同じくらい改善するだろう」
みたいな形でまとめてあると、人に話す時・引き継ぐ時・チームに新たな人員が来てキャッチアップするときに便利です。
ポイントとしては「ボタンは赤色が良い!」ではなく、「ボタンを目立たせる」という点で赤色にしたからではなく、目立たせたから数値が改善したという理解をする必要があります。(たまたまこのケースが赤色が目立ったからであって、ページ内に赤色が多ければ逆に青が目立つこともあります)
このように施策を実施していくとあなた自身に知見が蓄積されていきます。上手くいったものも、そうでないものも把握することによって、次の施策の確度が変わってきます。できればあなたの脳内だけではなく、ドキュメントとして残しておくのが良いでしょう。
一連の流れはこれで終わりです。あとは優先順位に基づき施策を実施していきます。その際新たな気付きにより施策を追加していくこともありますが割り込みもokです。初期のときより解像度が高くなっているはずなので、どんどん割り込んでいきましょう。
どの施策もうまくいかない時
実際色々試したけど、どの施策もうまくいかないなんて時があります。その場合はWebサイトというスコープでは解決できない根本を改善しないといけないケースもあります。
Webサイトはコンテンツが主であり、コンテンツがダメであればどんなにUIやデザインが優れていても数値は思ったように改善しません。
その時は前提に立ち返り、「誰に」、「何を」の部分を見直してみる必要があります。「何を」を変えられないのであれば「誰に」を変更するといった具合ですね。
まとめ
今回はWebサイト改善のおおまかな流れを紹介しました。さらに深ぼるとどのフェーズのユーザーにどのようなコンテンツを用意するかなど、まだまだ書き足りないのですがもしWebサイト改善でお困りの方がいれば弊社に相談いただければと思います。